南国の光の下で、旅行前に考える感染症予防
2025.07.15 ソラリス薬局 大麻店 ブログ
こんにちは、薬剤師のUです。
日々、白衣のポケットに小さな知識と責任を詰め込みながら過ごしている私ですが、私は旅行へ行くことが好きです。
今回は沖縄へ旅に出たことを綴りたいと思います。

潮の香りに包まれた風が、心の奥にある喧騒を静かに洗い流していく――そんな、言葉にするには少し照れくさいほどの癒しの時間でした。
家族と歩いた静かな小径の先に、静かに佇む夫婦福木(めおとふくぎ)の姿がありました。木々は並んで根を張り、長い歳月をともに過ごしてきたように見えます。地元では、防風の役割を担う大切な木として親しまれているそうです。その二本の木のあいだをそっとくぐると、不意に視界が開け、そこには言葉を失うほどの海が広がっていました。
陽射しを受けて青く輝く水面。波のさざめきが耳に触れ、時間が溶けていくような静けさがありました。都会の時間の流れとはまるで異なる、自然のリズムがそこには確かに流れていました。

そして、旅の途中で口にしたソーキそば。豚のスペアリブがのった、沖縄の代表的な郷土料理です。一口目は戸惑い、二口目で驚き、三口目には不思議な懐かしさを覚えました。あっさりとした出汁の中に、骨ごと煮込まれた肉の深い旨味。正直に言えば、「何とも言えない味」。だが、それもまた旅の記憶の一部として、心の中でじわじわと広がっていくものです。

今回の旅を前にして、私はひとつだけ迷いがありました。日本脳炎ワクチンを打つべきかということ。
薬剤師という職業柄、その重要性はよく理解しています。日本脳炎ウイルスに感染した場合、発症率はごくわずかでも、ひとたび発症すれば致死率は高く、生存しても重い後遺症を残すことがある――それは知識として確かに私の中にあります。
ワクチン接種によって、そのリスクは大幅に減らせる。科学的根拠も、統計も、データもそろっている。
けれど私は――今回は打ちませんでした。理由をひと言で説明するのは難しいのですが、どこかで「きっと大丈夫だろう」という甘さや、日々の忙しさに流された自分がいたのも事実です。
旅のあいだ、虫に刺されるたびに、ふと小さな不安が胸をよぎりました。
「やはり、打っておくべきだったのではないか」と。
その不安が、旅の自由さに影を落としたわけではありませんが、備えのある自由こそが、本当の自由なのだということを、今ではしみじみと思います。
沖縄の自然は、優しさと厳しさの両方を静かに教えてくれます。防風のために植えられた福木が、黙って風に耐えながらそこに立ち続けている姿は、どこか孤独で、それでいて力強く、美しく思えました。人はいつか誰かと寄り添うことを願うけれど、まずは一人でしっかり立っていること――そんな当たり前のことを、私はあの福木に教えられたような気がしています。
また、あの海の匂いを思い出すたび、静かな決意と共に日々を歩いていけそうです。
